日が変わりました。
「ぽんわか展」最終日となりました。
多謝の冬の展示はコレで最後になります。
この冬は本腰を入れた初めの年。思い出深い冬となることでしょう。
手織りから離れて数年。その間も少し織ってはいましたが、自分のためのものは無かった気もします。
初年度になぜかフェルトで勝負をかけた私。
10月くらいにはすでにフェルトのマフラーを数本作っていました。何年もの間、フェルトは体力ばかり使うし、硬いし、重苦しいし、イマイチ好きじゃなかったんです。それなのに、10月になぜフェルトを作り始めたのか?どうしてもきっかけが思い出せないのです。
フェルトに布を埋め込むものを少し作っていました。可愛いには可愛いんだけど私のテイストとは少し違うなと感じ、ウールのみで制作を始めました。フェルトにウールの細い糸でレースのフリンジをつけたり、刺繍を施します。そして、土台となるフエルトは皆が驚くほど軽くて柔らかい。
フェルト化を甘くするものもありますが、縮絨を強くかけません。そもそも繊維を縦横に並べません(笑)いわゆる「フェルトの作り方」はしていないから、よくあるフェルトと質感が異なって当たり前なんです。
それでもフェルトはフェルト。ウールの不織布であることには変わりません。私のような質感のモノを作る方ももちろんいらっしゃるでしょう。だから、私は刺繍をします。レースをつけます。
いつも言っていることですが、タグはつけていません。
可愛い織りタグをつけたいなと思った時期もありますが、生意気ながら「布を見てわたしだって判ってもらえることを目指そう」と思ってしまいました。だから、製図無しの刺繍もレースも、複数のウールをMIXしたフェルトも、全てが揃って「多謝」の製品なんです。それ自体が「多謝」です。
オーソドックスで色も地味だといわれても、それが私。冒険したくても冒険したファッションが自分に似合わないように、冒険した作品は私の手になじまないことを知っています。
全部「私が欲しい」もの。自分のファッションセンスを人に自慢できるほど私はオシャレさんでは全くないけど、それでも私にいいものだけを作って行きたいのです。売れ残った商品も、自分で大切に使って行きたい。実は売れ残ってよかったって思ってしまうものだってあるのです。
作品はお客様との相性だと思います。機会に恵まれなくて「それ」と出会えないお客様もたくさんいらっしゃいました。全て縁です。だけど、やっぱりと思い、別の会場に足を運んでくださったお客様もいらっしゃいました。恋愛と似ていますね。
価格は悩みました。
安くして多くの方に使っていただきたい気持ちもありましたが、ユ●クロ価格では購入したお客様が飽きてしまう可能性がでてきます。じゃ、グンと高級にしたら大切に扱ってくれるか?といったら、お客様を選んでいるような気がして、それも私自身が違うなと感じます。基準はここでも「私」。自分の経済状態をさらけ出すようで恥ずかしいのですが、私が良しと思って作ったものを、客観的に自分が買う立場だったらどの金額ならお財布の紐を緩め、そして大切にして行こうと感じる値段かな?と思うと、そんな価格帯なんです。 安すぎる~といってくださるお友達もいますが、私にはそれが適正価格(笑)。
私がお金持ちになったら、作品の値段が上がるかもしれません。そしたら「羽振りがいいねぇ?宝くじでも当たったのかな?」と思ってください。
私はフェルト作家ではありません。
「羊毛クラフト」という形態で作品を発表していったところ、この言葉がぴたりと合う気がしてまいりました。フェルトも、毛糸も、織物も、ニットも、小物も私の作るものはみんなウールかもね、って思ったらそんな言葉もいいかも知れないって感じました。
だから、今後はどうしても織りを再開したいので、来冬はフェルトが減って手織りがお目見えすると思います。楽しみにしていてください。
カッコいいのが似合わないから、可愛いのを作ります。
甘すぎるのも似合わないので、ボヘミアンな80’s olive少女を貫きます。
オリーブ少女は永遠です!