2020/05/16

解除のその後 と フェルトとは?

非常事態宣言が解除された静岡県です。

金峰樹 バンクシア

皆さん、お元気ですか。
静岡県は非常事態宣言が解除され、だいぶ街中に人が戻ってきた気がします。それでもまだ、学校の休校は続き、県外からのお客様はお断りになっています。県東部地区は感染者の数も少ない為、少ないからという安心感と、ほんとに居ないのか?という懐疑心と入り交じっているのが、本音のようです。



そこで。
お教室とワークショップ等の対面式の講座は、当面中止の方向で考えています。解除とはなりましたが、今はそのときでは無いと、私自身の判断になりますが、あれやこれや作ってみたかったなと残念に思われる皆さんには、ぜひ、過去形にするのではなく、未来形として想いを変化させてもらいたいと感じています。
そして時間や心に余裕のある方は、ぜひ現在形の想いにしてもらいたいのです。1から新しい事を始めるのは、ちょっと勇気がいるものです。しかし、そこはこんな時だからこそ、なお、楽しんでみませんか?と思うのです。



わたしは、夫の仕事の手伝いでこんな物をつくってみました。頭の中で、こんな感じのものって思って、似たようなものを探し、作ってみたのです。これも、私的には新しい試みです。


こんな感じ。
そしたら、これはマクラメなんですね? マクラメって名前や雰囲気は知っていても、こういうものですという事を知りませんでした。で、友人から言われ、あぁ、これが!と。

糸の仕事というのは、無限に技法があります。それには、だいたい名前がついています。名前が着くことによって、技法や用途が分かりやすくまとめられ(カテゴライズ)、そして悪く捉えると限定されてしまいがちです。 これだから、こうあるべきだ、と。〇〇 刺繍だからこの糸とこの針が定番であるとか、 △△編みだからこの糸を使うものだとか。初心者はきっと本やネットを参考にして手芸や手仕事をスタートするでしょう。しかしですね、それが、その1冊の本が全てではないことも皆さん、ご存知のはずなのです。でも、最初の1歩で自分の中に箱を作ってしまいがちなのではないか?と、時々思うのです。

宿根スイートピー

何が言いたいかと言うと、
名前や形にとらわれずに、素材や技法を試していけたら楽しいよね!ということ。

Twitterで、ひつじや(@hitsuji_ya)さんという方と材料と技法についての名前の事でモヤるよねって話をさせてもらいました。   フェルトというものに関して、その名前と扱い、そして、技法に至るまで、間違ったことが独り歩きしたり、新しい名前が一般化したり、もう、これはどうにもならないなーと言うのが私の感想です。

暑い時はアイスに限る


私がチクチクやっている、あの技法は、ニードルフェルトと呼んでいます…私は。しかし、一般的には “羊毛フェルト”と呼ばれることが多いのです。 羊毛は羊の毛ですので、素材名です。フェルトというのは、羊の毛が絡み合った状態を指すのですが、実はニードルで繊維を絡ませたものは厳密に言うとフェルト化してはいないのです。フェルト化とは、ウールのセーターを洗濯機で洗ってしまうと、ガチっと小さくなってしまうあの状態を言います。お習字のとき敷く布はフェルト布ですが、(いまは羊毛ではなく化繊ですが)要するにあの伸び縮みしない肉厚の不織布がフェルト布と思って下さい。セーターのフェルト化は、羊毛の性質上、繊維の表面を覆う鱗状のスケール(シャンプーのCMのキューティクルを思い浮かべて下さい)が水分を含み、また洗剤のアルカリによって鱗の笠が開きます。松ぼっくりみたいな状態です(松ぼっくりは乾燥している時に開くから、逆とも言うけど)。その開いたものが、洗濯機の中でもみくちゃにされる最中にスケールどうしで絡み合い、私たちの目では見えないレベルでガチっと手を繋いでしまうのです。洗剤の泡が立つことで界面活性剤の力で繊維が容易に動き、尚いっそう繊維どうしが絡みやすくもなります。それがフェルト化です。(フェルト化するのはそれ以外にも方法はあります)  
ニードルフェルトはそのレベル以前の、繊維が絡まっただけの状態。ですので、どんなにカッチカチにニードルで硬いフェルトを作ったとしても、洗剤の入ったお湯に浸けで揉むと、もうちょい小さくなります。それが、本当のフェルト化したフェルトです。

難しいですね。

こっちもなかなかです


シルクはフェルト化しません。何故ならスケールがありません。つるんとした繊維なのです。
だから、シルクのニードルフェルトはあっても、シルクのフェルトはありません。そして、私の言うニードルフェルトを『羊毛フェルト』と表現してしまうと、“シルクの羊毛フェルト”という、それは羊毛なのか絹なのか何なんだ?みたいな事になってしまうのです。
最近はアクリルの擬羊毛を素材にしたニードルフェルト作品作る方もいるようですので、まさに『アクリル羊毛フェルト』と言うのは避けたいところです。
素材なのか、技法なのか、商品名なのか、何なのか?頭がこんがらがります。しかし、実際問題、チクチクつくるものは羊毛フェルトと言う名前で世間に浸透しております。

だからね

名前とか、技法とか、考えないでスタートして下さい。手に馴染んできた時には素材の事がみえてきて、間違った情報を鵜呑みにすることは無いはずですから。

私の知識や技術が、パーフェクトでは無いこともバレる!そういう事もあるかもしれません。
(笑)

そのくらい、言葉や名前というのは先入観を作り上げます。あまり先入観を持たずに手仕事を楽しんでもらいたい、常にそう願っています。

ご清聴ありがとうございました!
(๑•̀ᴗ- )✩