2014/11/19

ニードルフェルトの刺繍

以前はフェルトというと、お湯と石鹸で平らなもの(もしくはボール状のもの)を作る作業の後に、手紡ぎ糸を刺繍針で刺繍することをしていたのですが、 ニードルフェルトで刺繍をするようになってから、その図柄が少し変化してきたように思います。 
そもそも、刺繍というのは糸と針で布に装飾を施すもので、私の行っているものは、糸の状態になる以前の繊維を束ねただけ(?)のウールを土台であるウールの塊に刺し込んでいく技法ですので、刺繍と呼ぶこと自体が間違っているかもしれません。

今日は、その工程がどういうものなのか?を写真でご覧いただきます。

土台を作ります
土台は心の部分までウールを使うようにしています。
(販売している『多謝の羊』は金属の芯材が入っていますので、刺繍は施しません)
刺繍は針を刺す回数がとても多くなるので、固い芯材が入っていることで針が折れやすくなるのを防ぐためです。

刺繍しています
アップで撮影したので、繊維の大きさ(太さ)から、どのくらいの割合で糸を刺しているかがご覧いただけます。この薄い緑色の繊維も、実際には緑と薄いグレーの繊維を少しずつ混ぜながら刺しています。一般的な刺繍で色を混ぜるときは、おそらく色糸の撚り合わせる本数などを加減しながら刺して行くのだと思いますが、このニードルフェルトの刺繍ですと運針の方向が決まっているわけではありませんのでその場その場で色の異なる繊維を足したり、抜いたりしながら色を載せていきます。

たくさん柄が入ってきたところ


地の色を変えて、刺し込む繊維を単色で、かつ模様を重ねていったもの。

色の繊維の混ぜ具合を少しずつ調整しつつ、模様を施していったもの。


絵の具やインクと異なり、色が混ざりきらないので、色その物の透明感を失うことなく図柄を表現することができます。繊維がほんの一本入っただけで、異なる色味になるから不思議です。

茶色い枝は、ナチュラルなグレー系のウールですが、そこにほんの数本赤い繊維を流してあげると茶色に見えるようになります。



こんな風にフェルトで絵を描いています。
ご質問等ありましたら、コメントでもメールでもいただけたら、わかる範囲でお返事させていただきます。